知覚麻痺の患者さんです。
今まで薬を飲んで我慢していたのですが、最近痛みがなかなか消えず、右下の歯が噛み過ぎで割れているか、神経が炎症を起こしているかという診断で、神経の治療(抜髄処置)を施しました患者さんです。
当日は少し痛かったようですが、翌朝痛みは引いていたのですが口唇に麻痺感があるということでお電話を頂きました。
前日に翌日休診の担当医から詳細を聞かされており診断、治療の経過の報告ももらっており、もしかしたら症状が収まらない恐れもあるということで、私への報告をもらっておりました。
麻痺状態というのは処置が早ければ早いほど回復が早いものなので朝にお電話を頂いて、すぐに来てもらいたいと患者さんに伝えました。
ただ今まで神経の治療をして麻痺を訴えられた患者さんに遭遇したことが無いために、どういう因果関係かが全く分からず、急いで来てもらった次第でした。
麻痺があるかどうかは残念ながら第三者にはわかりません。
ただ解剖学を知らない患者さんが神経の走行に沿って麻痺感がある場所をご明示頂けたので、間違いなく麻痺があると確信しました。
すぐに近隣の大学病院をご紹介したところ、麻痺は神経の処置とは関係なく「下顎骨骨髄炎」という診断をいただき、即入院となりました。
実は骨髄炎という疾患は最近はあまりみられることが少ないために、我々もほとんど経験したことがありません。
聞いた話では戦前など栄養が行き届かず、抗生物質のお薬なども無い時代にはよくあったということです。
その患者さんはご自身である一定期間痛み止めを飲み続けていたために、症状の確定などが遅くなったと思われます。
お仕事でお忙しい方も多いと思いますが、痛み止めはいい薬ですが多用されると経過がわからず原因歯、病態の確認ができにくくなるために、なるべく早期の受診をお願いしたいものです。
連携病院があるということは大変ありがたいことです。
感謝申し上げます。