今から6年ほど前に「歯がぐらぐらしていてさすがにもう痛くてだめだから抜いてほしい」と言って来られた患者さんがおられました。
私は歯周病で歯を抜くのは万策尽きた時なので、しばらく治療させてほしとお伝えしました。
その患者さんはそれから数か月に一度来られて歯周病の治療をしつつ、噛み合わせの調整なども続けてきました。
今日はその6年間歯周病の歯を何とか使えて持たせてもらえたけど、さすがに今回はだめだと言って来られました。
拝見するにやはり動揺が激しく食べることは少し無理になってきたかと思いましたので「さすがにもう抜きますか?」と尋ねたら、なぜか考えが変わったのか「もう少し噛み合わせの調整などでだめですか?」と聞いてこられました。
今年の11月であれから6年。
「ここまでもたせてもらって本当に感謝ですが、さすがに抜くとなると残念なので、先生もう少し…」
やはり患者さんにとってはどんなにぐらぐらしていても歯は抜きたくないものでしょうし、ここまでもつなんて6年前には想像すらつかなかったわけですので(私もですが)最後の最後にはもうちょっとがんばろうかなあという気持ちが芽生えたことも理解できます。
基本的に当院では患者さんのお考えに沿って治療しますので、今回も「〇〇さんの希望通りにしたいのですが、抜きますか?やめますか?」と聞いたところ、やっぱりもう少し頑張るというお返事でした。
確かにぐらぐらしますのでなんでも噛めるわけではありませんが、今までもたせられたというこでが患者さんも哀愁があるのか、今日も抜かなかったことで非常に感激してお帰りになられました。
私も大変うれしく思ったところでした。