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28年の歯周病治療を振り返って

28年前から来院されている患者さんが昨日来られました。

 

当時30歳を超えたばかりでしたが、毎回右下の糸切り歯が膿をもって腫れてくるということでした。

 

全体的にも歯周病が年齢の割には進行しており、毎回お薬を出したり噛み合わせの調整をしたり、接着剤で歯の固定をしたり、歯のお掃除をしたり、最後の方は歯茎を切って簡単な歯周病の手術をしたりして何とか頑張ってきました。

 

7年前にやむなく右下の奥歯を1本だけ抜きましたが、幸いその他の歯はいまだに健在です。

 

でも健在というには実際は程遠く、患者さんも最近はかなり噛みにくい箇所が出てきたと言っておられました。

 

でも私は抜きません!

 

いつも申し上げますが、歯は抜いてはだめです。

 

抜いていい事なんか一つもありません。

 

この歯はだめだから抜いて入れ歯にしよう、というのは歯医者の常套句ですが、入れ歯で食べられると考えること自体間違いです。

 

以前にも書かせていた30年近く通って来られている重度の歯周病の患者さんも、まだ1本しか抜いていません。

 

昨日も思いましたが歯周病で歯を抜くのは一番最後の方法。

 

あくまでも万策尽きたときです。

 

歯を抜いて仮に一時的にブリッジなどで噛める状態が再構築できたとしても、あくまでも一時的なものです。

 

行く先にはそのブリッジの支えとなった歯がだめになっていく可能性も視野に入れなくてはいけません。

 

歯周病でこれだけ長く歯がもつというのは、私たちの努力だけでなく患者さんのご努力があっての賜物です。

 

歯周病治療は歯科医師と患者さんとで治していくものだとつくづく感じました。