入れ歯を作る意味を多くの患者さんは食べるためと考えている。
確かに入れ歯を使って食べている患者さんは多い。
でも入れ歯で以前歯があった時と同じように食べられるとしたら、歯が痛くなったり歯周病で歯がぐらついたら歯を抜いて入れ歯を入れればいいわけです。
では私がなぜ歯をどんどん抜いて入れ歯を作らないか?
簡単に言うと食べられないからです。
でも患者さんは言います。
近所のだれだれさんは○○を食べている…とか
私のお知り合いの方は○○を食べている…とか。
でもその方々に聞いてみてください。
入れ歯で「どの程度」食べられているか、噛めているか。
その方々は入れ歯でしか食べることが出来ないので、それはそれなり食べ物をチョイスして食べているだけであって、若い世代の方と同じものを同じようにして食べているわけではないのです。
時々片側だけの入れ歯を入れている患者さんがおられます。
その方に入れ歯で食べられますか?と聞いて食べられると答えた方のほとんどは入れ歯でない側のご自身の歯で食べている方なのです。
すなわち入れ歯を作ったので入れてはいるが、いざ食べる際には反対側のご自身の歯の側で食べている状態を「私は入れ歯で食べている」と言われるわけです。
この辺のご事情を十分にご理解の上、歯医者が「歯を抜いて入れ歯を入れましょうと言ったとき、入れ歯では噛めないんだという事を十分に念頭に置いて、どうするかを患者さん自身が決めてください。
当院ではこのようなお話を患者さんに十分にした上でしか、入れ歯を作りません。
だって噛めないんですから。