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義歯の難しさ

他院で義歯を作られた方が来られました。

 

しかも先日までお通いだったとのことでした。

 

事情をお尋ねしたところ、新しい義歯を作ったがうまくいかないという事でした。

 

とにかく落ちる。口の中がいっぱいになる。噛むことが出来ない。

 

頬やベロを噛んでしまう。

 

拝見しましたところ患者さんの言われる通りで、たぶんこの入れ歯では噛むこともできず、お口いっぱいになって、落ちてくることも理解できる状態でした。

 

当初患者さんは10年くらい前からお使いの義歯をお持ちでした。

 

噛む力が強いためか奥歯の人工歯がすべてすり減っており、鋭利になって頬を噛んだりベロも噛むという事で作り直したという事でした(新義歯でも噛むことは治らなかったようですが)

 

奥歯が少しすり減っていたので、奥歯のすり減った部分だけを修理すれば依然と同じようにかそれ以上に噛めることが想像できましたが、なぜかその先生は噛み合わせの高さを5mmほど高くしたのです。

 

その為にお顔は伸びあがってしまい、俗にいう馬面(大変失礼な言い方ですが)になっており、口を閉じたくても閉じることが難しい状態の入れ歯が装着されていました。

 

その入れ歯を治すことも考えましたが、あまりにも高すぎて(お口の中では1mmはとてつもなく大きい量ですので)それを5mmアップという莫大な高さに仕上げられたものでしたから、その義歯の修復はあきらめざるを得ませんでした。

 

従って使い慣れた旧義歯の低くなった部分だけを少し盛り上げたところ、やや改善が認められました。

 

次回は下だけでなく上の義歯も盛り上げて上下のバランスを取ってみようと思います。

 

その先生も罪の意識に駆られたのか、新義歯を作ってうまくいかずすぐにもう1つ作ってくださったそうですが、いかんせん患者さんは我慢できずに転医されたという事でした。

 

以前にも書きましたが、1度義歯を作ると6か月間は保険で作り直しはできません。

 

たぶんその先生は無料で作り直したのだと思います。

 

大変気持ちのある先生だと思いますが、義歯はやはり難しいものです。