いつもある大学病院の先生方とチームを組んで大森歯科医師会が取り組んでいる摂食嚥下指導を行っています。
日本でも有数の先生方を中心にこのチームは数チーム作られていて、その中に微力ながらご一緒させていただいています。
この数年間特別養護老人ホームを中心として、看護師、栄養士、介護士の方などに食事介助の方法や誤嚥性肺炎を起こさないような食べさせ方、食形態などをご指導してきました。
お盆はいつも院長室で溜まった資料の整理や、勉強会の資料作りなどをしてその合間に急患対応もしてきましたが、今年は身内に寝たきりの者を抱えたために実家に帰省していまして、あまり対応が出来なくて申し訳なかったです。
身内の見舞いに病院へ行ったところ運悪く?お昼時で、また看護師さんがお盆で人手が少ないせいもあるのか、食事介助をしていただきたいと言われてしまいました。
「大丈夫ですよね~」と言われ、確かに「私は摂食嚥下の専門家ですので、どちらかと言えばあなたよりは上手ですよ」と返したかった気持ちを抑え、成り行きでお昼ご飯を食べさせることとなりました。
そこでいつもの特養での雰囲気で大丈夫と思ったのですが一つ大事な事に気が付きました。
いつも確かに食事介助をして食べさせ方などの指導はしていますが、1人に長くても10分ちょっとの時間で、ポイントだけをお教えしてきたのですが、全く1人の方の食事を最初から最後まで食べさせたことはなかったのです。
しかも私が直接に!
特養の入所者はたくさんおられますし、約1時間の食事時間の中で数人の問題のある方の食事状況のチェック、指導をしなくては施設側も困るので、とにかく急いでかつ問題のある方には十分なる時間をかけるのですが、そういうやり方をしてきましたので。
一番困ったのは主食と副食のあげるタイミングで、食べさせていて本人の希望通りにお魚を食べたがるため、最後にご飯だけ少し残ってしまったとか、また早食いで嚥下機能に問題はなさそうなのですが、頸部聴診(首の前部に聴診器を当てがって嚥下がうまくできているかため込みが無いかなどを確認するやり方)が聴診器が無くて出来ないために、食べ方やその反応を目で確かめながら慎重にやらなくてはいけないし…
でも病院の看護師さんも食事の時間にはベッドを思いっきり起こして、「さあ食べましょ」と言うけれども本人はその姿勢を苦しがっているし、私もその後調整し直して正しい位置へ戻しましたが、なかなか食事介助も難しいようで、看護師さんもかなりいい加減にやられているな~と感じました(そう思うのは身内のせいかもしれませんが)
こうやって見舞いに行ったつもりが、しっかりと摂食嚥下の実地をやってきたという状態で、勉強になりました。
やはり身内がそういう状態に置かれると、普段の勉強もますますやる気が出てきますし、もっともと勉強しなくてはいけないと感じました。
歯医者は歯が悪い人がなるべきと言う(歯の痛みを知らない人が患者さんお治療をしてもうまく感じ取ることが出来ないため)自分が感じている言葉がやはり正しいのかなあと、今回身内の食事介護をして(摂食嚥下の勉強は身内に食事介助が必要な人がいるとますます頑張れる)と感じました。