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歯科医師としての存在意義

私は歯医者である。

 

歯の治療を仕事としている。

 

ですから時には歯の治療をしてしまう事がある。

 

やや哲学的になるが、歯医者が歯の仕事をしても構わないし、しなくてはならないのは当然であるが(それを生業としている限り)歯のみに着目していてはいけないという事が、時々患者さんから教わるのも事実である。

 

先日も患者さんが大田区に居住されているがやや遠方からわざわざ来られる患者さんがいらっしゃいます。

 

当初より他院で入れた入れ歯の相談から始まり、修理調整を繰り返してきました。

 

最初は確かに患者さん自身が仰っていましたが、若干暗い感じの方でした。

 

でも来院されるたびにお顔付きが明るくなって来られました。

 

これは私が感じたのではなく、患者さん自身が言われたことでした。

 

この患者さんが言われるに「他の歯医者さんでは話を聞いてくれなかった」とか「自分の話に同意してくれる事がなかった」と言われました。

 

もちろん私は患者さんの話を聞きますし、いろいろと相談にも乗ります。

 

でも決して「迎合主義者」ではありませんので、違う事は違うとはっきり申し上げます。

 

このお話を聞いていると世間には患者さんのお気持ちを考えて治療をすることの少ない先生もおられるのかと感じました。

 

また別の患者さんですが、原因不明の病気をお持ちでどの病院にかかっても原因がわからないと言われたのですが、最初は家から出ることも出来ず体中が痛いという事で往診に行きました。

 

簡単な応急処置をしたのですが、その後不腰元気になられて診療室へ通って来られるまで回復されました。

 

先日も帰り際に「ここにきて先生の笑顔が見れるので嬉しいです」と言ってくださいました。

 

治療は大事ですが、その前に医師としてどう患者さんに向き合うか。

 

それもすごく大事なんだと感じさせられました。