入れ歯で食べるという事

先日ある男性の患者さんが新患として来られました。

他院で上の入れ歯を作ってもらって食べているが、その反対側(下の歯・ご自身の歯)が痛いという事で来院されました。

その入れ歯を作られた先生は下の歯は抜かなくてはいけないと言われたそうです。

患者さんとしては抜きたくないので、HPを見て当院へ来院されました。

 

拝見したところ歯の動きは少しで抜かなくてもいいような状況でしたが、不思議に思ったのは通常入れ歯の反対側の歯は噛んでいても痛くならないはずなのです。

理由は入れ歯には噛む力は少なくて、いくら入れ歯で食べても入れ歯と噛み合う歯にはそれほどの力は到達せず、したがって痛みはほとんど生じないというのが普通です。

 

ご自身の歯同士で噛んだときが100の力として、片側に入れ歯が入った時は20~25くらいの力でしか噛めないと言われています。

ですからどんなに頑張っても痛くなるはずが無いと思いました。

 

しかしながらその患者さんはとてもまじめな方で、入れ歯をご自身に慣らそうとして硬い食べ物を毎日毎日一生懸命食べたそうなのです。

その為に入れ歯とは言え噛みすぎたためにご自身の下の歯が痛くなったそうです。

 

偶然ですが本日も同じ状況の患者さんが来られました。

その方は女性で毎日毎日生野菜を嫌っというほど食べておられたそうです。

その為に上が入れ歯ですがその下のご自身の歯が眠れないほど痛いという事で来られました。

 

お二人ともには入れ歯は固い食べ物を食べることが出来ないという事。

食べられても決して無理をしてはいけないという事をご説明してお帰り頂きました。

 

時には患者さんは我々の常識をはるかに超えた行動に出るものだと思い、いい勉強になりました。

 

皆様もご自身の歯は大切です。

なるべく入れ歯にならない方がいいです。

もし不幸にも入れ歯になったら、固い食べ物は食べることが出来ないとお考えいただき、

毎日のお手入れや定期的な検診を欠かす事の無いようにしてください。